2022-02-16 令和4年第1回定例会

五十嵐えり議員の文書質問に対する答弁書

質 問 事 項
一 東京都の第5波におけるコロナ感染症対策について
1 都内において、第5波の8月中に自宅療養中(コロナ陽性者とされ、入院が必要と判断されたにも関わらず、入院先の調整等で入院できずに自宅にいた)に、都内で亡くなった方の人数を日ごとに伺う。また、自宅療養者数が26,409人と最多となった8月21日における、都の入院調整本部の入院調整の状況(保健所からの調整依頼件数、入院決定件数、調整ができなかった件数)について伺う。

回   答
新型コロナウイルスに関連した死亡例として都が公表した方のうち、令和3年8月に自宅療養中に亡くなられた方で、入院調整を行っていた方の人数は4人であり、亡くなられた日はそれぞれ8月10日、18日、19日、20日です。
また、同年8月21日における都の入院調整本部の調整状況については、保健所からの調整依頼件数が616件あり、このうち入院決定件数が86件、入院決定に至らなかった件数が418件、その他調整の過程で取下げとなった件数などが112件です。

質 問 事 項
一の2 法に基づく要請について、都は「多くの医療機関及び医師、看護師養成機関から、医師、看護師の派遣やワクチン接種等への協力の意向が示された」等と答弁しているが、法に基づく要請の結果、病床数及び人材の確保について、要請日以降、どのように増えたのか。法に基づく要請の結果について、伺う。

回   答
令和3年8月23日、都は国とともに、感染症法に基づき都内医療機関等に対し、最大限の患者受入れや病床の転用を含めた更なる病床確保、宿泊療養施設や酸素・医療提供ステーション等の都が要請した施設への人材派遣、ワクチン接種への協力を要請しました。
要請日時点の確保病床数は5,967床、新型コロナウイルス感染症患者のために転用する病床を含めた最大確保病床数は6,406床で、このうち重症用病床はいずれも392床でしたが、要請の結果、同年9月末時点で確保病床数は6,651床、このうち重症用病床は503床となりました。
また、同年11月11日時点で、都が要請した施設等への人材派遣については、791機関から協力する旨の回答があり、ワクチン接種については、自院での実施は4,772機関、区市の設置会場等での実施は4,351機関から協力する旨の回答がありました。

質 問 事 項
一の3 法に基づく要請の時期が、なぜ8月23日だったのかについての理由を伺う。また、都は法に基づく要請の時期として、適切だったと考えているのか見解を伺う。仮に、適切だったと考えている場合、もっと早くに法に基づく要請をしていれば、病床数等が確保でき、その分救われた命があったと思われるが、見解を伺う。

回   答
都は、新型コロナウイルスの感染状況に応じて、都内医療機関に対し病床確保を働きかけており、通常医療との両立を図りながら、段階的に病床の確保を進めています。
昨夏の感染状況は、変異株の影響により過去最大のものとなり、まさしく災害レベルであったことから、国と協議を重ね、令和3年8月23日、全国で初めて、国との連名による感染症法に基づく協力要請を実施し、更なる病床確保を行いました。
加えて、回復期患者の転院促進や酸素・医療提供ステーションの設置、自宅・宿泊療養における医療機能の強化のほか、ワクチン接種や中和抗体薬の投与を積極的に実施し、医療・療養体制の拡充や重症化予防に取り組んでいます。

質 問 事 項
一の4 新型コロナウイルスに感染し、本来必要な医療や健康観察等を受けられないまま自宅で死亡した人の家族が遺族会を発足させるなど、医療崩壊の結果、自宅療養中に亡くなった多くの遺族が声をあげている。損害賠償や見舞金等のなんらかの支援が必要だが、都はこうした遺族に対してどのように向き合っていくのか、見解を伺う。

回   答
都は、自宅療養者が安心して療養できるよう、自宅療養者フォローアップセンターを設置して健康観察や24時間対応の医療相談を実施するほか、パルスオキシメーターを貸与してきました。
また、東京都医師会や地区医師会等と連携し、体調が悪化した方への往診等を実施するほか、緊急時に自宅で酸素を投与できるよう、酸素濃縮装置を確保してきました。
さらに、昨夏の感染拡大を踏まえ、自宅療養者フォローアップセンターの人員を増強するとともに、健康観察を行う医療機関への支援や感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携を強化しており、今後も自宅療養されている方の命を守り、死者を出さないことを最優先に、こうした取組を着実に実施していきます。

質 問 事 項
二 月次支援金の職業差別について
1 対象外要件の緩和をして、上乗せ横出し支援として、「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象とすることは、制度上可能か、見解を伺う。

回   答
東京都中小企業者等月次支援給付金は、国の月次支援金に対して支給額の加算等を行うものであり、支給要件は国の制度に準拠して設定しています。
このため、国制度で支給の対象外としている事業者については、都も支給の対象外としています。

質 問 事 項
二の2 都は、いかなる理由に基づいて、国と同様に「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象外としてきたのか、見解を伺う。

回   答
月次支援給付金は、国の月次支援金と連携することで、都内の中小企業等の経営を下支えするものであり、国の制度に準拠して支給要件を設定しています。

質 問 事 項
二の3 他の自治体では、コロナ感染症対策の対象に風営業者も含めて支援しているところがある。都も上乗せ横出し支援として、独自に特定の風俗業者も対象に含めて支援するべきだが、見解を伺う。

回   答
月次支援給付金は、国の月次支援金と連携することで、都内の中小企業等の経営を下支えするものであります。
このため、国の制度に準拠して支給要件を設定しており、現時点において国が支給対象としていない事業者については、支給する予定はありません。

質 問 事 項
三 東京版の都内観光促進事業「もっとTokyo」について
1 昨年同様に、コロナ感染症者が増加した場合、都はどのような基準で、東京版都内観光促進事業「もっとTokyo」の停止を想定しているか。誰がどのように、どのような基準で判断するのかについて伺う。

回   答
都は、国のコロナ分科会で示された5つのレベル分類に都独自でレベル2.5を設定しており、そうしたレベルの範囲内で、観光産業の回復への支援として、感染防止対策を徹底した上で観光を後押しすることとしています。
レベル2.5になった場合については、事業の進め方について、適切に判断していきます。

質 問 事 項
三の2 都内観光促進事業「もっとTokyo」における、氏名冒用等の不正利用の防止について、都はどのような対策をとる予定か伺う。

回   答
本事業において、旅行業者等が助成を受けるためには、対象となる旅行の実績報告を行うとともに、宿泊施設や利用した観光施設等の領収書の写し等の証拠書類を提出することとしています。
これに加えて、本事業は都民を対象とする都内観光を支援するものであるため、旅行業者等は対象旅行の販売時や宿泊施設の利用の際には身分証明書の提示を受け、都内在住者であることの確認を行い、その旨を実績報告書に明記することとしています。
こうした取組により、本事業の適切な運営を図っていきます。

質 問 事 項
三の3 同事業の費用検証と効果について、どのように行うか、見解を伺う。

回   答
都内観光促進事業は、国の「GoToトラベル事業」と併用し、旅行者の負担を抑えることにより、事業効果を高めていきます。
このため、100万泊の支援規模で、国の事業と連携して事業を実施していきます。
また、制度の周知のほか、観光ツアーで巡る地域の様々なスポットやイベントについて、都民向けのPRの強化を図り、旅行商品の販売促進につなげていきます。

質 問 事 項
四 子どもの法教育・人権教育について
1 実際に、都内の公立学校が弁護士会等に依頼をした「いじめ防止授業」や「法教育プログラム」等について、直近5年の利用状況(回数や費用や内容等)を伺う。

回   答
都教育委員会では、学校教育における「法」に関する教育の推進リーフレットを作成し、法律実務家が参画した授業展開例や、法律実務家を活用する際の相談窓口等について、都内公立学校へ周知しています。
「いじめ防止授業」や「法教育プログラム」等については、各学校が契約や消費者問題等に関して、児童・生徒の発達段階に応じて、直接、弁護士会等に依頼しています。

質 問 事 項
四の2 いじめが許されない環境づくりは、東京都いじめ対策推進条例に基づく重要な措置であり、上記のような授業、プログラムの実施に対し、学校ないし弁護士会の過度な負担とならないよう、都は全部ないし一部の費用を賄う等の支援が必要だが、見解を伺う。

回   答
各学校は、教育課程に位置付けられた学習等で外部講師を活用する場合、学校の予算の中から、各校長の権限で謝金を支払うことができるようになっています。

質 問 事 項
五 杉並児童相談所について
杉並区及び中野区が単独設置に移管した場合、武蔵野市及び三鷹市の児童相談所はどうするのか伺う。上記政令によると、児童相談所は武蔵野市単独、最低でも三鷹市との二市合同が望ましいが、見解を伺う。

回   答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
都の児童相談所の管轄区域内に区が児童相談所を設置した場合についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。

質 問 事 項
六 知事の所信表明について
知事は令和3年11月30日の所信表明演説で「様々な状況が改善されつつある中、第5波を経て、今に至っている」と述べたが、どんな状況が改善されつつあったと認識しているのか伺う。

回   答
都はこれまで、感染状況を踏まえ、段階的に病床の確保を進めるとともに、ワクチン接種を積極的に推進するなど、医療提供体制の強化や重症化予防に取り組んできました。
新規陽性者数は、第五波で最多となった令和3年8月13日の5,908人から、同年11月30日時点で20人まで減少しました。

質 問 事 項
七 多摩地域の保健所について
1 全国の二次医療圏の平均人口は約37万7千人であり、多摩府中保健所の所管人口は約106万人であるから、都は、多摩府中保健所の所管人口は平均的な二次医療圏の人口を著しく超えると認識しているか伺う。

回   答
全国に335ある二次医療圏の人口は、令和2年10月現在、約377万7千人から約1万9千人までと様々です。
都道府県が設置する保健所の所管区域は、国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針等に基づき、各自治体が判断しているものと認識しています。
なお、都保健所は、住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという、地域保健法の考え方に基づき、二次保健医療圏に1か所設置しています。

質 問 事 項
七の2 都は保健所の食品衛生などの一部の業務が行われている武蔵野三鷹地域センターを感染症対策等でも活用する等、二次医療圏における複数の保健所や支所の設置等の保健所の体制強化を検討すべきだが、見解を伺う。

回   答
住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという、地域保健法の考え方に基づき、都保健所は、二次保健医療圏に1か所設置しており、広域的・専門的・技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っています。
なお、今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から収束に至るまでの都保健所の取組を検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしています。

質 問 事 項
七の3 都は、多摩地域の都保健所について、「感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、改めてその在り方を検討し、今年度は、保健所の感染症対策業務に関する調査分析を実施する」としているが、その調査の内容と進捗状況を伺う。

回   答
都は、都保健所の感染症対応における在り方検討に必要な情報を収集するため、現在、都保健所の感染症対策業務に関する調査・分析を実施しており、この中で、保健所の体制強化や市町村等との連携などに関する課題の把握などを行っています。