2022-06-01 令和4年第2回定例会(第8号)
五十嵐えり議員の文書質問に対する答弁書
質 問 事 項
一 パートナーシップ宣誓制度の「宣誓」の憲法違反について
1 素案によると、同性カップルは知事に対して、本件制度の利用条件の宣誓内容として、「互いを人生のパートナーとして、相互の人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約した二者である」ことの宣誓を求めている。こうした宣誓内容は、他の自治体の制度を参考にしたものか。参考にした自治体がある場合、どの自治体か伺う。
回 答
パートナーシップ宣誓制度の素案の策定に当たっては、有識者等からの意見聴取の内容、都民等アンケート調査結果及び先行する都内外の自治体の制度等を参考にし、様々な観点から検討しました。
質 問 事 項
一の2 問1について、参考にした自治体がない場合、上記の宣誓内容は都独自に発案したものか、由来があるのか伺う。
回 答
パートナーシップ宣誓制度の素案の策定に当たっては、有識者等からの意見聴取の内容、都民等アンケート調査結果及び先行する都内外の自治体の制度等を参考にし、様々な観点から検討しました。
質 問 事 項
一の3 世田谷区や横浜市のパートナーシップ宣誓制度の宣誓内容では、それぞれ同性カップルは、「互いをその人生のパートナーとすることを誓約し」、「互いが人生のパートナーであることを宣誓し」とあり、相互の人権を尊重することまでの宣誓は求められていない。同性カップルに相互の人権を尊重させることを宣誓させる都の制度は、こうした他の自治体の制度と比較して、どのような意味があるのか、世田谷区や横浜市との宣誓内容の違いを示した上で、都の意図を伺う。
回 答
社会における性的マイノリティ当事者の方々の人権尊重の観点から、制度素案では、パートナーである二人が対等な立場で互いの人権を尊重することを前提に、対象者を定義したものです。
他自治体の宣誓内容については、各自治体の判断に基づくものと考えます。
質 問 事 項
一の4 本制度は、同性カップルの本件制度を利用したいという意思以上に、「相互に人権を尊重すること」を誓約させるものであり、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定める憲法24条に違反するのではないか、見解を伺う。
回 答
制度素案では、婚姻制度とは別のものとして、パートナーシップ宣誓制度を構築することとしています。
質 問 事 項
一の5 本制度は、異性カップルが婚姻の意思のみで婚姻できることに比し、「相互に人権を尊重することを宣誓」させるもので、制度の利用に際して異性カップルよりも重い要請を行うものであることから、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するのではないか、見解を伺う。
回 答
制度素案では、婚姻制度とは別のものとして、パートナーシップ宣誓制度を構築することとしています。
質 問 事 項
一の6 本制度は、制度を利用する同性カップルについて、「相互に人権を尊重することを宣誓」させることを要請するもので、人の内心における思考ないし信念を表明させることを事実上強制するものであり、思想及び良心の自由はこれを侵してはならないとする憲法19条に違反するのではないか、見解を伺う。
回 答
制度素案では、性的マイノリティ当事者の生活上の困りごとを軽減し、暮らしやすい環境づくりにつなげることが制度の目的の一つであり、都が発行する受理証明書を様々な場面で活用できるように制度を構築することとしています。
そのため、都では、受理証明書の発行に当たり、パートナー関係にある二人の自主的な意思を宣誓という形で行政として確認することとしています。
質 問 事 項
一の7 本制度のうち、互いを人生のパートナーとして、「相互の人権を尊重し」、継続的に協力し合うことを約した二者であると宣誓したことを同性カップルに求めることは、憲法違反の疑いが極めて強いものであり、「相互の人権を尊重し」の部分については、削除すべきだが、見解を伺う。
回 答
都はこれまで、都民等へのアンケート調査、有識者ヒアリングなどを通じて、都民や当事者の意見を伺い、庁内での検討を重ね、令和4年第一回都議会定例会において制度素案を報告しました。
今後、都議会での議論や意見、パブリックコメント等を踏まえ、当事者にとってより良い制度となるよう、取り組んでいきます。
質 問 事 項
一の8 人権を保障すべきは公務員である知事及び職員らであるが(憲法99条)、都は制度を利用した同性カップルの人権を尊重するという認識があるか、見解を伺う。
回 答
人権尊重条例前文では、都は、人権尊重に関して日本国憲法その他の法令等を遵守し、総合的に施策を実施することとしています。
さらに、本条例では、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消並びに啓発等の推進を図るものとしています。
都は、本条例に基づいて基本計画を策定し、啓発教育の推進や相談支援体制の充実とともに、職員の理解推進などにも取り組んでいます。
質 問 事 項
一の9 本制度は、既存の東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を改正する形で導入予定であるが、なぜ単独での立法ではなく、同条例を改正する形で導入することとしたか、理由を伺う。
回 答
人権尊重条例では、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るものとしています。
パートナーシップ宣誓制度は、その施策の一環として取り組むものであることから、本条例を改正するものです。
質 問 事 項
一の10 都は、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例において規定される、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消について、これらの理念が日本国憲法のどの人権に基づくものと理解しているか。具体的な憲法の条文を挙げた上での見解を伺う。
回 答
人権尊重条例前文では、都は、人権尊重に関して日本国憲法その他の法令等を遵守し、総合的に施策を実施することとしています。
さらに、本条例では、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消並びに啓発等の推進を図るものとしています。
質 問 事 項
一の11 本制度は、オリンピック憲章だけではなく、問10で答弁した同性カップルの人権尊重の理念に基づく制度であると認職しているか、見解を伺う。
回 答
人権尊重条例前文では、都は、人権尊重に関して日本国憲法その他の法令等を遵守し、総合的に施策を実施することとしています。
さらに、本条例では、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消並びに啓発等の推進を図るものとしています。
パートナーシップ宣誓制度は、その施策の一環として取り組むものです。
質 問 事 項
二 都営住宅に入居できない人たちへの支援について
1 出入国管理及び難民認定法に基づく措置(仮放免等難民認定申請中の措置等含む)により都に在住する人たちの人種と人数の内訳を伺う。
回 答
難民認定や在留資格の付与等については国の役割となっています。
質 問 事 項
二の2 現時点で最新のデータである令和2年度における都営住宅の募集戸数と申込者数について伺う。
回 答
令和2年度における都営住宅の募集戸数は合計1万2,005戸、申込者数は延べ約13万人です。
質 問 事 項
二の3 問1における人たちに対して、都はウクライナからの避難民と同じような支援を行っているか。行っていない場合、早急に住宅支援をはじめとする同様の支援を行うべきだが、見解を伺う。
回 答
在留資格があり、住民となった方については、区市町村と連携し、必要な生活支援等を行っています。
また、難民認定や在留資格の付与等については国の役割となっています。
質 問 事 項
三 組織委員会の保有する文書等を東京都が公開すべきことについて
1 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例3条で「組織委員会に対し、文書等の保管及び承継に関して必要な指導及び調整を行うものとする」と定めているが、都は組織委員会に対していかなる指導及び調整を行ったか、伺う。
回 答
都は、解散後も組織委員会の文書が適切に保管・承継されるよう、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の終了を受け、組織委員会に対して、文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえた協力依頼文書を発出しました。
質 問 事 項
三の2 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例5条で、「文書等の適切な保管及び承継のための仕組みを整えられるよう、公益財団法人日本オリンピック委員会その他の関係機関に対して、必要な協力を要請するものとする」と定めているが、いかなる要請を行ったか伺う。
回 答
組織委員会が解散後に保存・承継する文書は、法令等に基づき清算人が保存する文書等と開催都市契約等に基づきアーカイブ組織に承継するアーカイブ文書があります。
都は、組織委員会に対して、文書等の保管及び承継に関する条例の趣旨を踏まえた協力依頼文書を発出するとともに、アーカイブ文書を確実に保存・活用する枠組みを定めるため、公益財団法人日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会及び組織委員会と条例の趣旨を踏まえた調整を行い、日本オリンピック委員会をアーカイブ資産の管理者であるアーカイブ組織とするアーカイブ協定を締結しました。
質 問 事 項
三の3 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例の規定に基づく保管や承継の対象は、「組織委員会が保有する全ての文書等」という認識でよいか伺う。
回 答
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例第2条には、「文書等」について定義されており、「組織委員会の職員が組織的に用いるものとして、組織委員会が保有しているものをいう」とされています。
質 問 事 項
三の4 組織委員会はオリパラが極めて公共性の高いものであることから、自発的に理事会の議事録や関連事業の発注書などをホームページ上で公表してきているが、都は、これらの「組織委員会が保有する全ての文書等」を承継したのちに、順次公表していく考えはあるか、伺う。
回 答
組織委員会が解散後に保存・承継する文書は、開催都市契約等に基づきアーカイブ組織に承継する文書と法令等に基づき清算人が保存する文書等があります。アーカイブ組織に承継する文書については、アーカイブ協定1.2等の規定に基づき、利活用することが可能となっています。
また、過去の判例によると、清算人が保存する文書については、裁判所の許可により閲覧可能とされています。
質 問 事 項
三の5 都は「組織委員会が保有する全ての文書等」について、都民から法に基づかない情報公開の求めがあった場合、積極的に自発的に開示・公開していくべきだが、見解を伺う。
回 答
組織委員会が解散後に保存・承継する文書のうち、アーカイブ組織に承継する文書については、アーカイブ協定1.2等の規定に基づき、利活用することが可能となっています。
また、過去の判例によると、清算人が保存する文書については、裁判所の許可により閲覧可能とされています。
質 問 事 項
四 東京都の第5波におけるコロナ感染症対策に対する再質問について
1 令和3年第四回都議会定例会での文書質問趣意書における、質問事項一の3の「感染症法に基づく医療機関などへの協力要請の時期がなぜ令和3年8月23日だったのか」という質問に対し、都は「昨夏の感染状況は、変異株の影響により過去最大のものとなり、まさしく災害レベルであったことから、国と協議を重ね、令和3年8月23日、全国で初めて、国との連名による感染症法に基づく協力要請を実施し、更なる病床確保を行いました。」等と答弁しているが、なぜ、国と都の連名で、協力要請を行うことになったのか、その理由を伺う。
回 答
国と都は、これまでも感染状況や医療提供体制等について、情報共有及び協議を行ってきました。
令和3年8月に行った感染症法に基づく医療機関等への協力要請は、東京を中心に首都圏の感染状況が厳しく、東京の医療体制がひっ迫した場合の影響が首都圏に広範囲に及ぶ恐れがあることや、都内に国が管轄する医療機関、大学病院が数多くあることなどから、国と都の連名としました。
質 問 事 項
四の2 令和3年第四回都議会定例会での文書質問趣意書における、質問事項一の4の「第5波中にコロナに感染し本来必要な医療や健康観察等を受けられないまま自宅で死亡した人の家族が遺族会を発足させる中、都はこうした遺族に対して損害賠償や見舞金等なんらかの支援が必要と考えるが都はどのように向き合っていくのか」との質問に対し、都は「パルスオキシメーターを貸与してきました」「酸素濃縮装置を確保してきました」「今後も自宅療養をされている方の命を守り、死者を出さないことを最優先に、こうした取組を着実に実施していきます」等と答弁しているが、遺族とどう向き合っていくかについて全く答えていない。改めてこうした遺族に対し、損害賠償や見舞金等なんらかの支援が必要だが、どのように向き合っていくのか、見解を伺う。
回 答
都は、第5波の経験を踏まえ、自宅療養者への健康観察を速やかに実施できるよう、診療や検査を行った医療機関による健康観察を支援するとともに、感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携を強化しています。
また、オミクロン株による第6波の感染拡大を受け、保健所やフォローアップセンターの体制を強化するとともに、自宅療養サポートセンター「うちさぽ東京」を開設し、患者の重症度に応じたフォローアップ体制を拡充しています。