2022-09-20 令和4年第3回定例会(第12号)

五十嵐えり議員の文書質問に対する答弁書

質 問 事 項
一 パートナーシップ宣誓制度の「宣誓」の憲法違反についての再質問について
改めて、なぜ本件制度では、同性カップルは、都知事に対し、互いを人生のパートナーとして、「相互の人権を尊重し」、継続的に協力し合うことを誓約しなければならないのか、本件制度において異性カップルには想定し得ない「相互の人権を尊重」すると宣誓させるという過剰とも思われる宣誓内容を要する理由について、伺う。「本制度は婚姻制度とは別のもの」と強調することとの関連についても、伺う。

回   答
都は、人権尊重条例に基づき、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るものとしており、パートナーシップ宣誓制度は、その施策の一環として取り組むものです。
人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、性的マイノリティ当事者の方々も含め、都民の誰もが認め合う共生社会を実現することとしています。
こうした理念を明確にするため、本制度では、性的マイノリティ当事者の方々の人権尊重の観点から、パートナーシップ関係にある二人が対等な立場で互いの人権を尊重することを前提に、対象者を定義したものです。
また、本制度は、パートナーシップ関係にある二人の宣誓、届出を受理証明する制度であり、関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして構築していることから、そのことを明確にするため、「婚姻制度とは別のもの」と表記しています。

質 問 事 項
二 高齢者を狙った犯罪対策について
高齢者(65歳以上)を狙った犯罪について、過去5年間の都内における特殊詐欺のうち総件数、被害額及び警視庁としての対策を伺う。さらに、地域ごとの特徴についても併せて伺う。

回   答
1 過去5年間の都内における特殊詐欺の認知件数等
┌──────┬──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐
│      │ 平成29年 │ 平成30年 │ 令和元年 │ 令和2年 │ 令和3年 │
├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤
│認知件数  │  3,510件 │  4,185件 │  3,815件 │  2,896件 │  3,319件 │
├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤
│うち、高齢者│  2,920件 │  3,588件 │  3,299件 │  2,620件 │  3,109件 │
├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤
│      │  約79億 │  約88億 │  約75億 │  約63億 │  約66億 │
│被害金額  │      │      │      │      │      │
│      │ 8,000万円 │ 7,000万円 │ 9,000万円 │ 4,000万円 │ 2,000万円 │
├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤
│      │  約72億 │  約79億 │  約66億 │  約56億 │  約60億 │
│うち、高齢者│      │      │      │      │      │
│      │ 6,000万円 │ 1,000万円 │ 5,000万円 │ 5,000万円 │ 1,000万円 │
└──────┴──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘
※平成30年から「キャッシュカード詐欺盗」を計上
2 警視庁における特殊詐欺対策
検挙対策としては、受け子や出し子といった末端被疑者の検挙はもとより、犯行グループの主要被疑者と認められる暴力団幹部の検挙等に向けた突き上げ捜査を実施しています。
被害防止対策としては、金融機関、防犯ボランティア団体等と連携し、「ATMコーナーでは携帯電話の通話をしない、させない」ことを社会のルールとして定着させる「ストップ!ATMでの携帯電話」運動、多くの高齢者やその子・孫世代が訪れるワクチン接種会場などにおける広報啓発活動、AIを活用した被害防止機器の設置促進等を実施しています。
3 特殊詐欺における地域別の特徴(令和4年5月末現在)
多摩地域で発生した被害の9割は、現金、キャッシュカード等を犯人が被害者から手渡しでだまし取る「手交型」によるものでした。
一方、特別区においては、こうした「手交型」による被害は6割強であり、「手交型」以外の被害については、被害者をATMに誘導し、携帯電話越しにATMを操作させて、実際は犯人の口座に振り込ませる「還付金詐欺」が3割でした。
警視庁では、引き続き、各警察署管内の被害発生状況を分析し、その実態に即した諸対策を、強力に推進していきます。

質 問 事 項
三 病床確保支援事業について
1 都は、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるため、医療機関に対して病床確保料および患者退院後の消毒経費等を補助している(病床確保支援事業)が、コロナ禍において、東京都が病院等に対し、当該補助として、支払った総額、病院別の補助額及び補助金執行にあたっての取組状況について伺う。

回   答
都は、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れる医療機関を対象に病床確保支援事業を実施しており、補助額は、令和2年度は約1,362億円、令和3年度は約1,937億円です。
補助金の執行に当たっては、病床使用率が低い医療機関にヒアリングや書面調査を行い、その理由を確認するなど、適切に対応しています。
なお、病床確保支援事業の病院別の補助額は、法人に関する情報であり、法人の事業運営に支障が生じるおそれがあるため、公表していません。

質 問 事 項
三の2 新型コロナ感染症患者を受け入れるために確保した病床数と入院患者数について、病院別の実績を伺う。

回   答
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関での確保病床数や入院中患者数等については、医療機関等情報支援システム(G-MIS)により医療機関から厚生労働省に報告されており、厚生労働省のホームページに令和3年12月1日以降の実績日時点の医療機関別情報が公表されています。

質 問 事 項
四 選管における通称名使用の対応について
1 視覚障がい者が投票する権利を全うできるようにどのような対策をとっているのか伺う。

回   答
視覚障害を持つ有権者への配慮として、点字による候補者一覧を作成し各投票所に配備しているほか、複数枚の投票用紙を使用する選挙の場合には、それぞれの投票用紙に点字で選挙の種類を表示し、投票箱の上部にも選挙の種類を表示した点字シールを貼付して有権者に分かりやすくしています。この他、選挙公報の音声データをホームページで公開し、選挙公報の点字版の作成配布なども行っています。
投票所では、投票所の出入口などの段差解消のためのスロープの設置や点字器具の配備を行った区市町村への財政的支援も行っています。
また、投票所を管理する区市町村選挙管理委員会の職員を対象に実施している研修に、都立心身障害者福祉センターから講師を招き、投票所における障害者への接遇についての講義を行っています。

質 問 事 項
四の2 高齢や病気のため投票所まで行くことが難しい方々への対策について伺う。

回   答
身体の障害などにより自ら投票所に行けない有権者が投票を行う方法として、現行制度では、不在者投票指定施設における投票と郵便等投票があります。
不在者投票指定施設における投票は、都道府県選挙管理委員会から指定された病院や老人ホームなどに入院・入所中の有権者が、その施設内で投票を行うものです。
また、郵便等投票は、身体の障害の程度や介護保険法の要介護度において一定の要件に該当する有権者が、自宅などで投票用紙に記載し、それを郵便等で送付することにより投票を行う制度です。
なお、宿泊療養や自宅療養をしているコロナ陽性患者等については、令和3年6月に創設された特例的な郵便等投票制度により、郵便等投票を行うことができます。

質 問 事 項
四の3 昨年の東京都議会議員選挙の際、選管が開催した立候補予定者説明会において、立候補予定者が日頃政治活動を行っている通称名で受付をしようとしたところ、選管に通称名での受付を断られ、やむなく戸籍名で受付したところ、当人がそれまで公表していなかったその戸籍名が報道されてしまったということがあった。現在の、立候補予定者に対する通称名での受付状況及びその他の通称使用の整備状況を伺う。

回   答
立候補予定者説明会の受付時又は立候補予定者への書類配付時の氏名の公表については、法令上の規定はありませんが、立候補予定者からの御意見・御要望等を踏まえ、令和3年10月執行の衆議院議員選挙以降の都選管の管理する選挙において、通称名のうち旧姓での受付及び公表を可能としております。

質 問 事 項
五 ウクライナ避難民に対する支援状況について
ウクライナから避難してきた人の、現時点の人数を伺う。また、その方たちに対する都の支援内容及び状況を伺う。

回   答
出入国在留管理庁は、都道府県別ウクライナ避難民在留者数を定期的に公表しており、東京都を住居地として届け出た避難民は、令和4年8月28日現在、385人います。
都は、相談窓口を設置し、都営住宅等での受入れを行っており、令和4年8月28日現在、138組243名が入居しています。
また、避難生活が長期化する中、東京で安心して生活していただくため、各種支援団体とのマッチングや就労の後押し等の多岐にわたる支援を行っています。

質 問 事 項
六 駅前での募金活動等に対する対応について
都内の駅前で募金活動を行う上で、必要な手続きについて伺う。

回   答
募金活動を道路において行うことによって、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような場合には、道路使用許可が必要となるときがあります。

質 問 事 項
七 高等学校卒業程度認定試験について
1 都は、高等学校卒業程度認定試験について、どのような事務を行っているか伺う。

回   答
高等学校卒業程度認定試験は、国が実施する事業であり、都教育委員会は、その依頼に基づき、試験の周知や試験日における運営協力等を行っています。

質 問 事 項
七の2 同制度は、「大学受験や就職の際の扱いは高等学校卒業程度認定試験の合格者と同じ」(文部科学省)としているが、都における就職の際の扱いとして、いかなる取り扱いを行っているか、見解を伺う。また、都は民間企業に対してはいかなる通知等を行っているか伺う。

回   答
令和4年度東京都職員III類採用試験の例では、「平成13年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた人」としており、高等学校の卒業を受験資格としていません。
国において、ハローワークや商工会議所等に対し、パンフレットを配布し、企業に対して制度の周知を図っていると聞いています。

質 問 事 項
七の3 同制度を活用しようとしている者(中学校卒業者や高校中退者等)に対する周知や支援等があるか、伺う。

回   答
都教育委員会は、受験案内を都立高等学校及び都立中等教育学校に送付し、生徒へ周知するほか、ホームページや広報東京都に試験に関する情報を掲載するなど、幅広く周知を図っています。
また、各学校においては、受験を検討している生徒に対して、情報提供を行うなどしています。

質 問 事 項
八 気候変動対策について
気候変動対策について、都民の声をどのように聞き、どのように政策に反映していくのか、見解を伺う。また、現在の取り組み状況も伺う。

回   答
気候変動対策の推進には、都民一人一人の行動が不可欠であり、都はこれまでも、自治体や環境団体等が実施する市民参加型のシンポジウムや勉強会等に参加することで、都民の生の声を聞きながら、都の取組についても発信し、共感と協働を呼びかけてきました。
また、都が立ち上げた「チームもったいない」には、約1,100の都民や企業が参加しており、その取組や声をウェブ上で配信するとともに、協働してシンポジウムの開催や、先進事例の共有等を行っています。
環境審議会での議論においても、未来を担う若者等からのヒアリングなどを実施したほか、環境基本計画の中間のまとめについてパブリックコメントを募集し、広く都民、事業者、団体等の意見を求めています。
引き続き、様々な場で多くの主体の参画を得て、カーボンハーフを実現していきます。

質 問 事 項
九 災害時の住民の把握について
災害時における、住民相互の安否確認が円滑に進むよう支援していくべきと考えるが、現在の取り組み状況を伺う。

回   答
発災時において、地域住民が適切な防災行動を実施するためには、相互に安否確認が取れる環境を整えるとともに、事前にその方法を周知しておくことが重要です。
このため都は、安否確認ハンドブックや防災アプリなどを通じ、災害用伝言ダイヤルやSNSによる安否確認方法をあらかじめ家族と相談し決めておくことなどを、都民に対し広く呼びかけています。
また、町会・自治会向けの「東京防災学習セミナー」などにおいて、安否確認の必要性を伝えるとともに、安否確認のルール及び訓練を紹介するなど、地域における取組を促しております。

質 問 事 項
十 東日本大震災からの避難者に対する支援等について
平成23年3月11日の東日本大震災での原発事故における都内への避難者に対し、いかなる支援を行っているか伺う。特に、住宅環境についての現状を伺う。

回   答
東日本大震災により都内へ避難されている方に対しては、関係各局が連携し、被災県、区市町村、福祉関係機関等とも協力して、避難者の生活全般にわたる支援を実施しています。
具体的には、水道・下水道料金の減免、就労支援、戸別訪問や交流サロン開催などの避難者の孤立化防止事業、電話相談窓口の運営などを行っています。また、月に一度、避難者世帯に対し、支援に関する情報をまとめた「定期便」を送付しています。
住宅については、被災県からの要請に基づき、現在、福島県大熊町及び双葉町からの避難者に対し、都営住宅等を災害救助法に基づく応急仮設住宅として提供しています。また、都の応急仮設住宅の供与終了に合わせ、被災県の要請を受け、都営住宅の避難者専用枠での募集や入居基準の緩和などにより、住宅確保を支援しています。